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アイナナ夢

第15章 Rey11


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交差点を渡りきった辺りで、背後に気配を感じた。
振り向いちゃいけないんだろうけど、聞きなれた声で名前を呼ばれた気がした。

「零」
『……楽?』

振り向くとそこには山村さんもとい、楽がいる。
蕎麦屋の仕事着じゃなく、おそらく普段着の。

「さっきの誰?」
『さっき…?もしかして見てた?』
「あぁ…お前、あいつになんかされたのか?」

詳しいことは言いたくない。
いくら顔馴染みだからと言って友達ではないのだから。

『特に…何も』
「目、腫れてる」
『…っ!』

楽が目元に触れようとしたので私は咄嗟に楽の手を弾いた。
それに驚いたのな、楽が目を丸くしている。

「わ、悪い」
『ほんとになんでもないから』
「俺に嘘つくな」

これはマズイ。
楽が怒ってる様にしか見えない。
話をどうにか逸らさないと。

『あ、前のライブすごかった。別人かと思っ…』
「俺を見て答えろ」
『……』

話を逸らすことに失敗。
それどころか余計に怒ってる。

「お前が泣くなんてあの事ぐらいしかないだろ」
『…、なに言ってるの?』
「お前が歌を馬鹿にされて泣いてた事ぐらい知ってる」

……。
誰にも話したこともないのにどうして知ってるの。
それに…泣いてたのだって…ひと目につかないところを選んでた。

『……あのさ、場所変えよ』
「…チッ、お前んちでいいか?」
『話が終わったらすぐ帰ってくれるならいい』
「わかった」


「…あいつ」




家に着く。
部屋に入れたくないから必然的に玄関での立ち話になる。
出前で慣れてるのか、玄関でも何も言われない。

「俺はずっとお前がどうしたら泣かなくて済むのか見てた」
『ずっと?近所の蕎麦屋さんが?』
「あぁ…最近はお前がだんだん可愛く見えてきた」

…?
何を言ってるんだ。

『意味がわからないんだけど』
「零が小鳥遊事務所に行く様になってからだ」
『?』
「日に日に可愛くなってく」
『えっと…』

本当にどうしたんだろう。
いつもの楽とは雰囲気が違う。
蕎麦屋でもTRIGGERの八乙女楽ともなんだか違う。

「言わなきゃわからないか?」
『何を?』
「お前が好きだ」
『?』

もしかして私…告白されてる?
TRIGGERの八乙女楽に……?

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