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アイナナ夢

第14章 Rey10




「うーん…自分の歌に自信が持てれば少しは変わってくるんじゃね?」
『自信…』
「それまでは練習するしかないっしょ」

自分の歌に自信なんてある訳がなかった。
自分の声がどう思われるかと思うと自信なんて消えていく。
あ、また気分が落ちてきた…。

「お前さんの声は本当にいい声なんだ」
『お世辞でも言わないで』
「そう言ってると思ってる?」
『思う』
「うわーお兄さん悲しー」
『普段の言論を胸に聞いてよ』

大和さんが胸に手を当ててみるも首を傾げている。
これは心当たりがないと見た。

「お前さんには本当の事しか言ってないぞ」
『……え』

今までの事を思い出す。
大和さんの言葉で恥ずかしくて死にそうになってくる。

「お前さん真っ赤」
『う、うるさいな』
「ほんとかわいいな」

頭を撫でられるが、本当は悪い気はしていない自分がいる。
でも全力で拒否したい自分もいるのも事実。

「こんだけ元気が出れば帰れるだろ?」
『え、ぁ…うん』
「もう遅いしお兄さんが送ってやるよ」

何を言い出すんだこの人。
社長以外には住所も教えていないというのに。

「そんな目してたら知らない人に声かけられちゃうでしょうよ」
『そんなに酷い?』
「帰ったら冷やしたほうがいいぜ?それじゃ事務員には戻れないだろ」

そうだ。零とReyは別人なんだ。
バレるのは時間の問題かもしれないけど、少しでも引き延ばさないと。
送ってくれるとは言っているけど、流石に家までは気が引ける。

『…じゃあ途中まで来て』
「お兄さんが責任持ってエスコートするな」
『やっぱり来なくていい』
「調子乗りました」
『ふふ』
「ほんと表情豊かで飽きないやつ」
『何か言った?』
「いんや、何も」




◇◇◇




デビューしてないとは言え、アイドルグループの二階堂大和は帽子で顔を隠していた。
宣伝活動もしているのだから、ファンに見つかるなんてこともありえるからだそうだ。

『家に帰るだけなのに近い』
「顔見られたらまずいっしょ」
『いや、そうじゃなくて…』
「今はその格好だから問題ないでしょ」

あれから私はまだ着替えていないし、髪も下ろしたままだ。
所謂Reyの格好のままであって、普段着の私。

「俺には関係ないけどな」
『……ばか』

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