第12章 Rey9
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(名前変換ありません)
事務所で普段の私の格好に戻るなんてスカウトされて以来だ。
そして私は今、最高に意味がわからない。
『はい????』
「だからメンバーがいるレッスン室に行くって」
『その必要ないよね』
「いやあるだろ。いずれバレるし、直前だと余計会いづらいだろ」
『一理ある、けど…』
いざ会うとなると緊張して声が出なくなるなんてことはザラだ。
そうなる前に会ったほうがいいとは思うけど…。
「あっと、そうだ。地声、トーン落とせるか?」
『ん、んんっ、問題ない』
大和さんが目をパチパチさせた。すぐ出来るのが意外だったのかな?
私にとって地声をワントーン落とすことなんて簡単だった。
これのせいで性別が間違われてるのかも知れない。
「……役者も行けそうだな」
『何の話?』
「こっちの話。それじゃあ行きますか」
『気が重い…』
◇◇◇
大和さんにレッスン室の前で待機してるように言われ、壁に寄りかかっていた。
そんなに私変わってるのかと言う不安もある。
「いいよ入って」
顔を出した大和さんに呼ばれる。
お披露目って訳じゃないけど、とうとう私は前に出てしまう。
「ほら、恥ずかしがるなって」
『うわっ!?』
腕を引かれ強制的にレッスン室に入る。
いなくなったっという一織と陸もいた。
つまり、IDOLiSH7が全員揃っていると言うことになる。
「見ない顔だけど誰ですか?」
「前に幽霊がいるとか騒いでただろ?」
「結局アレなんだったんだ?」
「ワタシ一人でトイレ行けませんでした」
「で、その幽霊がこいつ」
『わ、ちょ、ちょっと!』
大和さんに肩を掴まれる。
スキンシップ激しくないですかね。
とてもじゃないけど皆の視線が痛い。
『れ、Reyです…』
「それで、貴方は何者ですか?」
『アイドル…なのかな、一応…』
「俺たちと同じでまだデビュー前だけどな」
『…そうなんです』
思った以上に声が出ない。
声が震えてるのが自分でもわかるくらいだ。
「ここにいるってことは所属もここってことだよな?」
「社長の奥の手らしいぜ?」
「もしかしてオレたちの後輩ですか!?」
『後輩ではないです…』