第10章 Rey7
レッスン室のドアを開けると、大和さん以外のメンバーが練習中だった。
新曲の名前はJoker Flag。曲中にラップが入る曲なんて私は歌ったことがない。
これを踊りながら歌う…?
お弁当を机の上に置くと、休憩していたのか一人でいる陸を見つけた。
『結構ハードそうだけど大丈夫?』
「はぁ、はぁ…大丈夫だよ…」
大丈夫そうには見えなかった。
だってこの音…小さい頃の私と同じだ。
私の場合は軽かったから今ではなんともないけど…陸の年齢でこれでは…。
本人から聞くまでは大きな声では言えない。
だから私は陸に近づいて小声でこう言った。
『もしかして…呼吸器の、病気…?』
「…ッ!?い、言わないで…お願い…」
『……。隠し通すのは無理だよ。ちゃんとみんなに言わないと』
「そんなこと…出来ない…」
このことが大事になることは今の私は知らなかった。