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アイナナ夢

第39章 Rey29




「いいからお兄さんはほっといてくんない?」
『ドラマ見ないの?』
「見たくない」
『みんなで見るっていうから来たのに』
「ぅ…」

言葉を詰まらせる大和さん。
いくら話しかけても私の顔を見ようとはしない。
常に目が泳いでる…みたいな?

「少しだけだからな」
「ヤマさん素直じゃねーよな」
「まぁまぁ。行こうか」





「ウェルカム。ワタシのシアタールームへ」
「オレの部屋だよ!お前が勝手にホームシアターセット設置しただけだろ」

出迎えてくれたのはナギさん。
仮にも三月さんの部屋のはずなのに我が物顔だ。

「それじゃあ、みんなで観ましょう!録画した大和さんのスペシャルドラマ!」

私と違って、紡さんは何度かここに来たことがあるのかな?
動揺とか、挙動不審ってものが一切ない。
私がおかしいだけ…?

「……ちょっと、用事思い出した」
『何部屋から出ようとしてるの。まだ始まってすらいないのに』
「あはは!恥ずかしいんだろー」
「うるせー」

本当に恥ずかしいのか、少し顔が赤かった。
大和さんはそのまま部屋を出ていってしまった。

「……行っちった」
「まあいいですよ。勝手に視聴させていただきましょう」
「どれどれ……。おー!大和さん出てきた!」
「格好いい!先生っぽいなー!こんな落ち着いた喋り方初めて聞いた……」

練習の時に見た大和さんとは別の顔だ。
初めて私と演技した時ともまた違う。
もしかして、私が相手じゃああはならない…?
返って私と練習なんてしないほうがよかったんじゃ……。

「……ってか……」
「………演技うまくない?」
「……これは……、ひいき目かも知れないけど、主役を食ってる…」
「ヤマさんじゃないみてえ…」
「………。OH…この表情……」
「ナギさんどうしたんですか?」
「いえ…なんでもありません……」

私と目を合わせてくれなくなったのは演技のせい…?
私が中途半端だから…?
考えても理由がわからなかった。

「大和さん、こんな才能を隠してたなんて…一体、何者なんだろう…」

私…どうしてこんなに大和さんのこと気にしてるんだろ……。

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