• テキストサイズ

アイナナ夢

第38章 28,5(大和視点)




心ここに在らずみたいなそんな空気。
顔がずっと赤いけど、今も演技ってのも考えにくい。

『な、何…』
「まだ顔赤いな?もしかして本気にしちゃった?」
『だ、誰が本気になんか……』

さっきのしたって思ってんのかな。
勘違いしたまま気まずいってのも俺はヤダし。

「あー、さっきのキスしてないからな。手、当てたのわかんなかった?」
「え、そうなんですか!?本当にしてるのかと思っちゃいました」
「零にそんなことできないでしょ。ま、お前さんは直前に目閉じちゃったから分かんなかったかもな」

俺は零の耳に近づく。
マネージャーと万理さんに聞こえたらまずいし。

「しても良かったけど」
『ひゃっ!?』

零がビクッと飛び跳ねた。
こんな声も出せんのか…からかったら楽しいだろうなあ…。

「へえ…耳弱いんだ?」

今の俺、悪い顔してんだろうな。
何かに目覚めそうだわ。

「大和くんその辺にしてあげたら?」
「おっと、零が可愛い反応するからつい」
「そういうのは現場でやっちゃダメだからね」
「はいはい」
『また大和さんに遊ばれた…』

こっち見て喋れないっぽいし、話題戻してやるか。
俺ってば優しいな。

「ベタな設定にしたけどちゃんと乗って来るし、表情も上手いしやっぱ才能あるって」
『わ、私じゃなくて大和さんのオファーでしょ!巻き込むのやめてよ』
「えーいい練習相手になりそうなのに」
『"えー"じゃない』

台本とかは後日の話だろうけど、2時間ドラマで殺される役ならそこまで時間はかからないだろ。
俺が零と喋る口実にしたいだけだったりして。

「さっきのは冗談抜きで可愛かったわ」
『からかわないで』

俺の口から出るのは本心だけだ。
零は本気だとは思ってないだろうけどな。
誰にもあんな可愛い顔見せたくない…やっぱり俺…

「そんじゃ、俺先に帰るわ」
「お疲れ様です」
「大和くんお疲れ様ー」
『お疲れ……』


/ 117ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp