第5章 真選組
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お嬢さんの部屋。
想像するだけで、緊張して手が汗ばんできた。
俺は、(まともな)女の子の部屋というものを見たことがない。
それ以上に俺の周りには、ロクな女がいない。
暴力的な女と変態ばかりだ。
こんな小柄で可愛らしい子は、まさにレアキャラ!!
世の中は野蛮な女ばかりだと諦めかけていたが……、ありがとう神様!!
しかも、そんなお嬢さんの部屋に入れるなんて。
ありがとう神様!!
今日は吉日だ……!!
「はい、銀さん。こちらですよ」
「ん?どれどれ?」
部屋を覗くと、まず大量のごみ袋が目に入った。
雑誌の山と一緒に、部屋の隅に並べられている。
「えっと……お嬢さん?本当にここがお嬢さんのお部屋?」
「はい。まだ片付けの最中ですが、今日から私のお部屋になります」
「ん?今日から?」
「はい。今日から女中として、真選組にお世話になるんです」
「あぁ……。なるほど……」
今日から真選組の女中になのか……。
それなら部屋に私物が置かれていないのも、ごみ袋だらけなのも理解できる。
お嬢さんがバケツ持ってたのも、自分の部屋を掃除するためだったのか……。
淡い期待が打ち砕かれ、心には虚しさだけが残った。