第5章 真選組
とりあえず、私が二人の間に入り込めることができれば……。
喧嘩を止められるのでは!!?
「ほあっ!」
私は掴み合う二人の間に入り、銀さんに飛びついた。
「うおっ!?」
バランスを崩した銀さんは、地面に尻餅をつく。
私も銀さんに抱きつくような形で、倒れこんだ。
「いててて……」
銀さんが顔を歪めた。
尻餅+私の体重がかかっているのだから、痛くないはずがない。
「……ごめんなさいっ!!」
二人を止めることに夢中で、銀さんへの配慮を忘れていた。
そんな自分に呆れてしまう。
「お嬢さん、怪我してない?」
「私は大丈夫です。銀さんの方は……?」
「俺は大丈夫」
「本当ですか?もしお怪我なされているなら、手当てを、と思ったのですが……」
すると銀さんは盛大に顔を歪め、
「痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!!
腰がァァァァァァ!!!」
銀さんは叫びながら、地面に蹲った。
「えぇ……!?」
嘘でしょ……。
まさか、本当に怪我をさせてしまったのか。
不安になり、銀さんの腰を撫でる。
「大丈夫ですか……?」
「おいコラ万事屋!!下手くそな芝居してんじゃねェぞ!!」
土方さんの怒声が飛ぶ。
怪我人に芝居とは、あまりにも酷いのではないか。
私は土方さんをキッと睨んだ。
「土方さん!本当にお怪我をなされていたら、どうするんです!芝居だなんて、失礼な事を言わないで下さい!!」
「はぁ!?確実に芝居だろーが!」
土方さんはどこまでも銀さんが嫌いなようだ。
本当に仲が悪い。
土方さんの言動に呆れながら、銀さんの顔を覗きこむ。
やっぱり、辛そうに顔を歪めていた。
「すみません、銀さん。立てますか……?」
「あー……。お嬢さんがずっと側にいてくれたら、元気になるかも」
「分かりました!では、私のお部屋に行きましょう!」
まだ片付けの途中だが、銀さんが休む場所くらいは容易に確保できる。
「さぁ、銀さん。行きますよ」
私は銀さんを支えながら、よたよたと歩き出した。