第5章 真選組
「なるほど。好きな方がいらっしゃったんですね」
「誰にも言わないでよっ!?」
顔を赤くしてモジモジする山崎さん。
その姿は、恋する乙女のようだ。
私は誰にも言いませんけども。
沖田さん辺りは知ってると思いますよ、山崎さん。
「あと参加されなかった方はどなたですか?」
「局長とか副長とかだよ。局長は好きな人がいるし、副長は……誰も聞きに行く勇気がなくてさ」
確かに、土方さんはこういうことに参加しないだろう。
雑誌を持って来たら、叱り飛ばされそうだ。
「あ、じゃあ沖田さんは?」
「沖田隊長はね……」
女性の写真に慣れたのか、山崎さんはパラパラとページを捲る。
「あ、この子」
山崎さんが指差したのは、卑猥な格好をした女性。
四つん這いで目隠しをされ、犬のように首輪とリードが付けられている。
タイトルは『私を虐めて下さい、御主人♡♡』
「何ですか、これ!」
「沖田隊長のS魂をくすぐったらしくて……」
「変態か!」
「アハハ……。全くだよね」
山崎さんは苦笑いをしながら、そっと雑誌を閉じ、部屋の隅に押しやる。
「ささっ!片付け進めようか!」
「はーい」
大分、床は片付いた。
あとは雑巾で綺麗に部屋を掃除するだけだ。
「山崎さん、雑巾ってありますか?」
「うん。あるよ」
はい、と山崎さんが渡してくれたのは、
真っ白な雑巾とバケツ。
「ついでに水も汲んできてよ」
「はい。分かりました」
「中庭を出たら井戸があるんだけどね。場所、分かるかな」
「分からなかったら、他の隊士さん方に聞きますので多分大丈夫です!」
「そう?ならお願いするね」
「はい!」
私はバケツの中に雑巾を放り込み、部屋を出て井戸を探し始めた。