第5章 真選組
山崎さんが貰ってきてくれたごみ袋、三種類。
『燃えないごみ』『燃えるごみ』『缶、瓶類』。
まずは酒瓶やビール缶だ。
缶、瓶類用のごみ袋に次々と入れていく。
真選組は酒好きが多いのか、恐ろしい数の酒瓶やビール缶がある。
ごみ袋を四つ使って、ようやく収めることができた。
部屋中に酒の匂いが充満していたのも、納得できる。
その他にも菓子類やら、腐りかけの餡パンやらが大量にあった。
それらを全てごみ袋に放り込む。
「あ、山崎さん。ジャンプとかサンデーとかって捨てていいんですか?」
「うん、いいよ。ここにあるのは読み終わったやつだから」
「じゃあ、あの雑誌は……?」
私はR18な雑誌を指し示す。
「いっ、いいと思うよ!」
山崎さんは顔を真っ赤にして、目をそらした。
耳まで真っ赤になっている。
「……………」
チェリーがまる分かりな反応だ。
純粋すぎる山崎さんに苦笑しながら、捨てる雑誌を積んでいく。
そして。
たくさん付箋の付いている、R18雑誌を見つけた。
「何だろう……?」
興味本意で付箋の付いているページを捲ると、セクシーな女性がたくさん載せられていた。
「……?」
雑誌を持ち上げると、一枚の紙がはらりと落ちてきた。
○山○子……15票
●原◎実……10票
☆川★菜……8票
△田▽葉……5票
女性モデルの人気投票だろうか。
真選組隊士さん達の間で繰り広げられたものらしい。
付箋の付いているページに、票を入れられた女性が掲載されていた。
「山崎さん、山崎さん」
「何かあったの?」
山崎さんは雑誌を見ると、再び顔を赤くした。
「ちょっ……!」
顔を背けようとする山崎さんに、私は構わずに尋ねる。
「山崎さんはどなたに入れたんですか?」
「俺は誰にも入れてないよ……っ!!」
「人気投票、参加しなかったんですか?」
山崎さんは、人気投票紙の一番下を指で差した。
「ここ!ここに、不参加…数票って書いてあるでしょ?」
「はい」
「俺は、たまさんって人が好きなの!だから誰にも投票してないんだよっ……!」
顔を赤くしながらの、カミングアウトだった。