第4章 公園
さて。
私に何かができるでしょうか。
黙想して考えていると、
バシュッ!
「!?」
突然吊るされている縄が切られ、私は重力に従って落下した。
「ぶっ!」
固いコンクリートの床に顔からぶつかる。
鼻、痛い……。
「あ、ごめん!君の様子を見に来たんだけど、吊るされていたから……」
黒髪の地味な顔をした男が、申し訳なさそうに眉をハの字の形にしていた。
「いえ……、ありがとうございました」
「ごめんね、うちの沖田隊長こんなだから……。あ、俺は山崎退。よろしく」
今ほどいてあげるね、と山崎さんは私の背後に回った。
「ん、なかなか固いな。痛かったでしょ」
「まぁ……。あまり感じませんでしたけど」
「本当?早く解放してあげるからね」
自力でほどくことを諦めた山崎さんが、刀に手をかけた時だ。
「山崎ィィィィィィ!!!」
「はいっ!?」
物凄い剣幕で怒鳴りながら、前髪V字男が駆けてきた。真選組副長の土方さんだ。
「テメェ……。誰もいねぇからって、ここでチェリー卒業しようとしてんじゃねェ!」
「は、はい?副長、何言って……」
「いくら何でもSMプレイはねェよな……」
「お、沖田隊長……!?」
山崎さんは何が何だか分からない、と狼狽えていた。
山崎さん、いつもこんな扱いなのかな……。
可哀想……。
山崎さんを助けるため、私は沖田さんを指差して、
「あの。こんな縛り方したの、沖田さんですよ」
「…………」
あ、土方さんの表情が固まった。
「なんでィ。せっかく山崎の面白い反応が見れると思ったのに」
「私にとっては迷惑でしかないんですが」
「じゃ、じゃあ俺が来る前に話してたのは……」
私は土方さんが来る前に、山崎さんと話していた事を思い起こす。
あ。
固いだの、感じるだの、解放だのといった言葉から思い浮かんだのか……。
「土方さんって、欲求不満なんですか」
むっつりなのか。
冷めた目で土方さんを見つめると、今度は土方さんが狼狽え出した。
「違っ!……ちっ!おい山崎、そいつを手首だけ縛って取り調べ室に連れてこい」
「へい!」
舌打ちされたんだけど……。