第3章 歌舞伎町
結局、スタッフに追い払われる形でメリーゴーランドをあとにした。
物足りなかったのか、桂さんは未練がましく何度も後ろを振り向いている。
まだ乗りたかったのか……。
若干呆れつつ、私は桂さんに声をかけた。
「あの桂さん、次はどこに……」
「紗奈。あれを見ろ」
「?」
桂さんが指差した先には、
「みんなー!来てくれて、ありがとうきびうんこー!」
「「とうきびうんこォォォォォ!!」」
オッサン達がいた。
「……何ですか、あれ」
「寺門通親衛隊だ」
「オッサンだらけじゃないですか」
寺門通親衛隊とかかれた羽織を着て、うちわやペンライトをぶんぶん振っているオッサン達。
妙な熱気だけが伝わってくる。
彼らはいわゆる、ドルヲタと呼ばれる存在だ。
その中でも一人、
親衛隊の中心で声をあげている人物がいた。
「あ、桂さんじゃないですか!」
そう。
寺門通親衛隊隊長。
「おぉ、新八君か」
志村新八である。