第7章 バングル…
その後、全員で智さんを起こそうと試みたけど、一度眠りに落ちた智さんを起こすのは至難の業だと言う翔さんの判断で、結局その晩は智さんのアトリエ兼自宅の一室に泊まらせて貰うことにした。
「着替え、俺のでいいよな? 和は智の使って? あ、後風呂はアッチな?」
一通り俺達の俺達の世話を焼いた翔さんが、パイプ椅子に座ったままの智さんを軽々抱き上げて階段を上っていく。
その後ろ姿を見ながら、俺は一瞬…だけど、羨ましいと思ってしまう。
だって俺と兄ちゃんじゃ、どう考えたって俺が兄ちゃんを、ってのが自然で…
しかも、
「俺、今無理だぞ? 腰やっちゃってから」
だからね?
まあ、兄ちゃんが腰を痛めたのも、元を正せば俺のせいなわけだし、それに文句を言うつもりもない。
「うん、分かってるよ。それより、シャワー浴びたいよ」
街中に比べれば、随分涼しくは感じるけど、それでもまだ汗はかくわけで…
「だな。なんなら一緒に入るか?」
「えっ…、マジで言ってる?」
「嫌か?」
嫌って訳じゃないけど、いくら兄妹同然に育ってきたとはいえ、ココ他人様の家ですけど?
「ま、無理にとは言わねぇけど?」
もう…、ホント兄ちゃんてば意地悪だ。
「分かった。一緒に入るよ。っつか、一緒に入りたい」
だって俺、一分だって一秒だって、兄ちゃんと離れてたくないんだもん…
兄ちゃんに触れていたいんだもん…