第11章 決断…
「今…、幸せなのよね?」
母さんが確かめるように、俺と潤を交互に見る。
俺達はコタツの中でしっかりと手を握り合うと、母さんの言葉に答えるように、大きく頷いた。
“この上なく幸せだよ”って…
結局、“ちょっとだけ”のつもりが、晩飯の鍋までご馳走になった俺達は、飲み過ぎたこともあって、実家に泊まることも薦められたが、それをやんわり断ってマンションに戻ることにした。
無性に潤を抱きたかった。
多分、潤も同じ気持ちだったんだと思う。
俺達は街灯しかない暗い道を並んで歩きながら、そっと手を握り合った。
「ねぇ、兄ちゃん? さっき言ってたことって、本当?」
「何が…?」
「だから、もし他人でも俺を選んだ、って…言ってたでしょ?」
「ああ、あれか…」
「俺ね、凄く嬉しかった。俺もね、和と同じ気持ちだったから…」
「そっ…か…」
頷いた俺の腕に自分の腕を絡め、潤が俺に凭れたかかって来る。
その目が何かを期待しているようにも見えて…
俺は歩を一瞬止めると、少しだけ背伸びをして潤の唇に自分のそれを重ねた。
「いいか、潤…。一回しか言わねぇから…」
「うん…」
「愛してる…」
「俺も…愛してる。和だけをずっと…」
「ああ、俺もだ…」
俺達の間に、切っても切れない99・9%のDNAがある限り、ずっと…
『決断…』ー完ー