第7章 バングル…
兄ちゃんからのメールに添えられていた場所は、人里離れた…まではいかないけど、けっこうな田舎で…
人気も無ければ、民家も数件、それこそ街灯すらも無いような、寂しいって表現がしっくりくるような、そんな場所。
そんな中にポツンと建つ、このログハウス風の家が、どうやら目的地のようだ。
俺は若干の不安を感じながらも、玄関脇のドアチャイムを鳴らした。
すると中から聞こえて来たのは、明らかに兄ちゃんの声ではなくて…
「どなた?」
と聞かれた瞬間、俺は玄関ドアに向かって頭を深々と下げていた。
「す、すいません、間違えました…」
うん、きっとそうだ。
ナビにセットした住所が間違ってたんだ。
そうじゃなかったら、兄ちゃんのメールに間違いがあったんだ。
そうに違いない。
一旦車に戻ろう…
そう思って踵を返した時だった。
「お前何やってんの? 早く入れよ」
ドアの隙間から顔を出したのは兄ちゃんで…
その顔を見た途端、俺の膝から力が抜けて行つた。
「ちょ、お前大丈夫か? もしかして疲れてる?」
兄ちゃんが玄関から飛び出してきて、小柄な身体で俺を支えてくた。
「いや、なんかホッとしたっつーか…」
「そっか…。悪かったな、急に呼び出したりして…。ほら、歩けるか?」
「うん、大丈夫…」