第7章 バングル…
誕生日を数日後に控えたある日、仕事終わりの俺は、兄ちゃんからの電話に呼び出された。
元々出不精で面倒臭がりの兄ちゃんだから、滅多なことじゃ俺に電話をかけてくることも無いし、メールだって最後に来たのは…いつだっけ?
そんな兄ちゃんからの誘いとあって、俺の足もついつい浮き足立つ。
アクセルを踏み込み、ハンドルを操作しながら、大して上手くもないのに鼻歌まで歌っちゃってさ…
俺、どんだけ惚れてんだよ…
あ、そう言えば飯どうすんだろ?
外で食うのかな?
それとも家帰ってから…だと遅すぎるか…
やっぱ外食かな…
って、俺主婦みたいじゃんか…
ま、それも仕方ない。
一緒に暮らし始めてから、食事の準備は俺の担当みたくなってるし…
たまには兄ちゃんの手料理でも…とも思うけど、兄ちゃんがキッチンに立つと、ろくな事がないのは、既に実証済み。
これ以上お気に入りの食器、割られたくないからね。
それに、家に帰ったら家が無かった…なんてこと、考えただけでもゾッとする。
だったら、疲れてても、手抜きでも何でも、俺が作った方がいい、ってことになったんだよな…
血の繋がった兄弟とは言え、一緒に暮らすって、何かと大変なんだと気付かされた今日この頃でした(笑)
なんて事を考えているうちに、車は目的地に到着していた。