第1章 兄弟…
潤side
“経験ない”なんて言ってたくせに、なんでそんな慣れてんの?
兄ちゃんの舌の動きが、俺を翻弄する。
「ん…んん…に…ちゃ…ふぁ…」
呼吸さえままならないキスに、俺は両手で兄ちゃんの肩を押した。
「苦しい…から…」
「…あ、あぁ、ごめ…つい…」
途端に照れた様子で頭を掻く兄ちゃんに、俺は吹き出してしまう。
「な、なんだよ、そこ笑うとこ?」
「だって兄ちゃんの顔…茹で蛸もビックリしちゃ…あっ…ん…」
揶揄う俺の首筋に、黙れと言わんばかりに兄ちゃんが噛み付いた。
チリッとした小さな痛みと同時に全身に甘い痺れが駆け抜ける。
「んぁ…兄…ちゃ…」
触れられた部分が熱くて、自然と息が上がる。
「なぁ、呼べよ…さっきみたいに、和也って…」
低く囁く兄ちゃんの吐息の擽ったさに、思わず肩を竦めた。
「あ、でも…」
兄ちゃんの唇が小さなキスを落しながら、鎖骨を通って少しずつ下へ下りていく。
タンクトップの上から胸の尖りを探し当てると、そこを甘噛みされる。
「や…あ…ぁん…」
予想もしない強い刺激に、俺の身体が跳ね上がる。
兄ちゃん慣れてないって言ってたよね?
俺がリードするって、言ったよね?
なのに俺の身体は兄ちゃんの与えてくれる刺激に、過剰なまでの反応をするのは…どうして?