第6章 双子…【 Extra edition 】
俊介が一段と大きな口を開けて、ケーキに食らいつく。
「美味い?」
口いっぱいにケーキを頬張る姿は、まるでリスみたいで、なんだか笑えてくる。
「ここ、チョコ付いてるよ?」
「ん? どこどこ?」
唇の周りを手の甲で拭うけど、全然的外れで…
「ここだってば」
俺はカウンターから少し身を乗り出すと、俊介の口の周りに着いたチョコをペロンと舐めた。
「ちょ、ちょっと…、誰か来たらどうすんのさ…」
咄嗟に入り口を気にする俊介。
心配症なんだから…
「大丈夫だって。もう照明落としてるし、誰も来ないって…」
俺は空になった皿を水を張ったシンクに落としてからカウンターを出ると、エプロンを外した。
「このままにして、今日はもう帰ろうか?」
残った片付けは明日すればいいし、それに…
「今夜はさ、ゆっくりしよ?」
「そうだな、そうするか」
俊介もエプロンを外し、脚の流れるカウンターチェアから飛び降りた。
「あ、そう言えばさ、潤くんのお兄さんって何年生まれ?」
「確か…83年だったと思うけど?」
「じゃ、じゃあ、血液型は?」
「潤がA型だから、お兄さんもA型なんじゃない?」
聞いたことないから分かんないけど、多分ね?