第6章 双子…【 Extra edition 】
俺達はカウンターを挟んで向かい合わせに座った。
間には、蝋燭を立てた小さなケーキ。
潤のお兄さんに渡したケーキの、残りの材料を使って作ったケーキだ。
間に合わせで作ったから、見た目はイマイチだけど、味は確かだ。
「ね、ね、フーってしなよ」
「う、うん…」
俺が催促すると、俊介は少し顔を綻ばせて、蝋燭の火を吹き消した。
「おめでとう! ごめんな、こんなことしかしてやれなくてさ…」
俺、彼氏失格だよな…
「いいよ、気にしないでよ。こうして祝ってくれたんだから、それだけで嬉しいよ」
俊介がニッコリ笑って、手にしたフォークをケーキな突き刺した。
そして一欠片を口に入れると、普段は細い目を真ん丸にして、ほっぺたを抑えた。
「めっちゃ美味いじゃん」
「ホント? どれ、俺も…」
俊介からフォークを取り上げて、俺も一欠片を口に頬張る。
ちょっとビターだけど、ふんわりとした甘さが口全体に広がって…
「うめぇ〜」
我ながら最高の出来だ。
「だろ? ちょっと俺にもフォーク貸してよ」
俊介が俺の手からフォークを取り上げようとするけど、俺はそれを笑顔で拒んだ。
「だーめ。俺が食べさせてやる」
少し大きめにカットしたケーキをフォークで刺し、それを俊介の口元まで運んだ。