第6章 双子…【 Extra edition 】
「お兄さんって、今日誕生日なんだよね?」
二人を店先で見送った後俊介が店の看板を片付けながら、ポツリ呟いた。
「そりゃそうでしょ? だからこうして…」
「そっか、そうだよね? そっかそっか…」
えっ、なんか寂しげなんですけど?
俺、悪いこと言った?
いや、言ってないと…思う…よ?
「あのさ…、実はさ…」
店の照明を落とし、カウンターに入った俺の背中に、俊介が言いにくそうに声をかける。
「俺も今日誕生日なんだよね…」
ボソッと、聞こえるか聞こえないかの声で言って、俊介が手にしたホウキで床を掃き始めた。
その姿を見て、俺は全身から血の気が引いて行くような気がした。
だって忘れてたなんてさ…
ありえないでしょ?
しかも恋人の誕生日をさ…
「ごめん、俊介…」
俺はカウンターから出ると、丸まった小さな背中を抱きしめた。
「ごめんな、マジで…」
細い肩口に顔を載せ、耳元で囁く。
俺、最低だわ…
「い、いいって、そんな謝んな、って…な?」
俊介がホウキを手放して、空いた手で俺の頭をポンと叩いた。
「あのさ、今からしよっか? 誕生日会…」
「いいの?」
「当たり前でしょ? 」
だって俊介の誕生日だからさ…