第6章 双子…【 Extra edition 】
高校時代の後輩、潤から電話がかかってきた。
どうやらお兄さんが誕生日、らしい。
そのお兄さんが、有難いことに、俺の作ったハンバーグを気に入ってくれたらしく…
Birthdaydinnerに、俺の店を選んでくれた、らしい。
ならば、と俺は腕によりをかけてハンバーグを作った。
ついでに、通常は特別な時にしか使わない、奥の個室もパーティ仕様にセッティングをした。
当然だけど、俺は調理に専念してるから、準備の全ては“かざまポン”こと俊介にお任せ。
俊介は、二人が到着するまでの間、ホウキ片手に駆け抜けたと思ったら、今度はエプロン姿のまま花屋へ走り、また雑巾持って…と、そりゃもう大忙しで…
「ごめんな、急で…」
流石に申し訳なくて、俺が頭を下げると、
「いいよいいよ、後輩君のお兄さんの誕生日なんでしょ? 仕方ないよ」
ってさ…
ホント、良い奴なんだよな。
それに比べて、潤の奴…
いっつも突然電話かけてきては、アレコレ注文つけてさ…
わがままな奴なんだよ…
でもさ、太平洋よりも広い心の持ち主である俺はさ、そんなわがままな後輩の“トンデモ注文”にも、太陽のような笑顔で“Yes”と答えてしまうわけだ。
おかげで超大事なことを、すっかり忘れちゃったんだけどね…?