第5章 アルバム…
「ただいまー」
何冊目かのアルバムを閉じた時、玄関の方から潤の声がした。
仕事を終えた潤が帰って来たんだ。
「兄ちゃん? 開けるよ?」
俺の部屋のドアがノックされて、開いたドアの隙間から、仕事モードのキリッとした潤が顔を覗かせた。
「おお、おかえり」
「何してんの?
…ってか、それ俺のじゃん…」
潤は俺の手にあるアルバムを見つけるなり、ビジネスバッグを床に放り投げた。
「うん、俺んとこに紛れてたみたい」
「兄ちゃんトコにあったのか…。俺探してたんだよね…」
暑苦しいジャケットを脱ぎ、ネクタイを緩めながら、潤が俺の隣に腰を下ろした。
そして俺の手からアルバムを取り上げると、懐かしそうに顔を綻ばせてページを捲った。
「お前さぁ、全然変わってねぇのな?」
揶揄い口調で言ってやると、照れたように頬を膨らます潤。
その顔も、まんま変わってねぇし(笑)
「あ、そうだ、コレ見てみろよ」
俺は何冊かあるアルバムから一冊を抜き取ると、目的のページを捲ってから、潤の前に差し出した。
そこには赤ん坊の頃の潤が写っていて…
「俺さ、一つだけ成長したとこ見つけたぜ?」
「えっ、どこどこ?」
無邪気に聞いてくるから、俺は何枚か並んだ写真の中から、一枚を指さした。
「コレだよ」
瞬間、潤の手からアルバムが滑り落ちた。