第4章 同居…
店を出て、車に乗り込んでからも、俺達の手は解かれることはなく…
先輩から貰ったケーキーを手に、俺達は和のマンションへと帰った。
俺の部屋でも良かったんだけど、生憎食器類は全て段ボールの中。
それに四方を段ボールに囲まれて…なんてさ、ムードに欠けるからね。
「ケーキどうする? 今食う?」
冷蔵庫から缶ビールを取り出しながら、ソファーの上でゲーム機を弄り始めた和に向かって言う。
「うーん、俺腹一杯なんだよな…。明日にしない?」
視線をゲーム機に落としたままで和が答える。
「分かった。じゃあ、冷蔵庫に入れておくね?」
残念…
俺は今すぐにでも食いたかったんだけどな…
若干の寂しさを感じつつ、俺はケーキの入った箱を冷蔵庫に仕舞った。
「あ、そうだ。風呂、どうする? お湯溜めとく?」
「シャワーで良くない? それよりさ、こっち来いよ」
「えっ…、あぁ、うん…」
俺は缶ビールを二本手に、和の隣に腰を下した。
そして両方のプルタブを引くと、一本を和の前に差し出した。
「お、悪いね」
その時になって、漸く和の視線がゲーム機から俺に移された。
「乾杯しよっか?」
「何に?」
「和の誕生日に決まってるでしょ?」
そっか、と思い出したように和が笑って、握ったままだったゲーム機をテーブルの上に置いた。