第4章 同居…
一口大にカットしたハンバーグを頬張る。
兄ちゃんために…
兄ちゃんが好きだからって、頼んで作って貰ったチーズがたっぷり入ったハンバーグ。
なのに、全然味分かんないや…
「ごめんね、兄ちゃん…。台無しにしちゃったね…」
俺はナイフとフォークを揃えて鉄板の上に置くと、俺の鍵に着けたキーホルダーを外しにかかった。
「何やってんだよ…」
えっ…?
「何って…、コレ外そうと思って…」
「お前さぁ、思い込み激しすぎんだよ。俺がいつ”いらねぇ”って言った?」
「でも兄ちゃん全然嬉しそうじゃないじゃん?」
だから俺…
「だから、それが”思い込み”だ、って言ってんだろ?」
「じゃあ…?」
「嬉しいに決まってんじゃん。お前から貰ったモンだったら、俺は何でも嬉しいんだよ」
兄ちゃんがガチャガチャと音を立ててナイフとフォークを手に持つ。
そして鉄板の上のハンバーグを乱暴に切り刻むと、その一つをフォークで刺し、口に運んだ。
「うまっ…。この溶けたチーズが堪んないよ。ほら、お前も食え」
ハンバーグの刺さったフォークが俺の前に差し出される。
えっ、これってまさか…?
「ほら、口開けろって」
「う、うん…」
俺は顔が熱くなるのを感じながら、兄ちゃん…和に向かって口を大きく開けて見せた。