第4章 同居…
俺に促されるまま、和が椅子に座る。
その姿がなんとも挙動不審で…
「何キョドってんの?」
思わず笑ってしまう。
「いや…、だってさ、こんな…エスコートってやつ? 普通は“女”がされる事だろ? 俺、男だぜ?」
それは確かにそうかもしれないけどさ…
「男だってするよ? それに今は、俺の恋人でしょ? 当たり前じゃん?」
そう…
今目の前にいる人は、俺の“兄ちゃん”でも無ければ、“男”でも、勿論“女”でも無い。
特別な…俺の愛しい恋人なんだから…
「ビールにする?」
アルコールリストに目を走らせながら、いまだ落ち着かない様子の和に言う。
でも和は首を一つ横に振ると、
「どうせお前飲まないんだろ? だったらジュースでいいよ」
車の運転を心配してんだよね…?
俺に気を遣う必要なんてないのに…
「じゃあ俺もジュースにしようかな…」
リストを閉じ、コールボタンを押す。
暫くするとドアがノックされ、開いたドアから、白いシャツに黒いスラックスを履いた風間先輩が顔を覗かせた。
「いらっしゃい、久しぶりだね。今日はお兄さんのお誕生日なんだって?」
「そうなんです。だから雅紀先輩には無理言って…」
「そっかそっか。あ、おめでとうございます」
風間先輩が和に向かって深々と頭を下げる。
でもやっぱり和の人見知りモードは継続中で…
「ど、どうも…、ありがとう…ございます」
頭を掻いて、そのままペコリと頭を下げた。