第1章 兄弟…
和也side
兄弟の感動?の再会を果たして以降、俺達は頻繁に会うようになっていて、週末にはどちらかの家に泊まりに行くのが、最早当たり前になっていた。
でもそうなると気になってくるのが、潤の恋愛事情だ。
「お前さぁ、ここんとこ毎週末俺と会ってるけど、彼女とか大丈夫なのか?」
心配になった俺は、風呂上りの潤にさりげなく聞いてみた。
「俺彼女いないよ? 好きな人はいるけどね?」
サラッと返された。
「兄ちゃんこそ、いないの?」
「俺? 俺は…いねぇよ、んなモン」
言える訳がない、本当は女に興味がないなんて…潤には知られたくない。
第一、潤を好きになりかけてる、なんて口が裂けても言えっこない。
だって実の弟なんだから…
でもコイツはそんな俺の気も知らずに、俺の目の前で可愛い笑顔を振り撒きやがる。
仕事の時の、あのパリッとしたイケメンとは、到底同じ生物だとは思えないくらい、可愛い笑顔をね。
「ふ〜ん、兄ちゃんもいないんだ、恋人」
濡れた髪をタオルでガシガシ拭きながら、潤がゲームに集中してるフリをする俺の顔を覗きこんだ。
シャンプーの匂いが鼻を擽る。
「や、止めろって、あ、ほら…」
俺の手の中で元気に走ったり飛んだりするアイツが…陽気な音楽と共に天に召された。