第4章 同居…
選んだ家具の配達手配をして、俺達はホームセンターを後した。
兄ちゃんがおかしなこと言うから、住所間違えそうになったのには、自分でもちょっと笑ったけどね。
俺達はその足で実家に向かった。
母さんに合鍵を預けることが一番の目的ではあったけど、それ以外にも用事があって…
途中のショッピングモールに立ち寄ることにした。
「親父さんて、趣味とかねぇの?」
売り場を歩きながら、兄ちゃんが俺を見上げた。
「さあ…。特にこれと言って無さそうだけど…。強いて言えば、盆栽…かな?」
何でも友達に誘われて行った品評会で、桜の盆栽に一目惚れしたらしく、即購入。
それ以来、盆栽の世話だけは毎日欠かしたことがない…らしい。
「そっか…。盆栽ねぇ…。じゃあさ、剪定鋏なんかは? 必要なんじゃない?」
「それいいかも」
一瞬で消えて無くなる物よりも、無駄になってしまう物よりも、ちゃんと使って貰える物を…
どうせ贈るなら、喜んで欲しいしね。
「何かさ、こういうのって、案外難しいんだな? 俺、初めてだからさ、良く分かんねぇや」
そっか…
兄ちゃんは今までしたことないんだもんな、“父の日”なんてさ…
一年前までは、“家族”が何かも知らずに生きて来たんだもんな…
そうだよな…