第4章 同居…
そして週末…
奇しくもその日は兄ちゃんの誕生日当日で、俺達は不動産屋の案内の元、物件の見学をしたその場で賃貸契約を交わした。
鍵もその場で受け取り、一つは俺、そしてもう一つを兄ちゃん、残った一つは母さんに預けることにした。
「どうする? 寝室は一応分ける?」
普通の恋人同士の関係なら、聞く必要もない事なんだろうけど、俺達は普通の恋人同士の関係ではない。
世間的には…というより、戸籍上も“兄弟”なんだから…
「そうだな…。母さんの手前もあるし、分けといた方がいいんじゃないか?」
兄ちゃんの言う通りだ。
母さんが俺達の関係を知ったら…
間違いなくぶっ倒れるだろうからね。
「うん、じゃあそうしようか。その方が便宜上都合良さそうだし…」
…って言っても、二間続きの部屋は、間の扉さえ取っぱらってしまったら、一つの部屋になるんだけどね?
「あ、兄ちゃんこの後時間ある? もし暇ならさ、一緒に家具とか見に行かない?」
個人の部屋の家具は今使ってる物をそのまま運び込めばいいけど、共有スペースであるリビングとダイニングだけは、出来れば新しい家具で揃えたい。
「俺は構わないよ?」
「じゃあ決まりだね。 そうと決まれば…早く行こ?」
俺は兄ちゃんの額にチュッとキスをすると、兄ちゃんの手を引いて新しい部屋を出た。