第4章 同居…
生き別れになっていた兄ちゃんとの感動の再会から一年。
俺達は一緒に暮らすことを決めた。
兄弟は一緒に…それが母さんの希望でもあったし、何よりお互いのマンションを行き来するのも、正直面倒でもあった。
兄ちゃんも特に反対することなく、俺達は週末を利用して物件探しに明け暮れた。
それ以外の時間は、お互いの荷物の整理と片付けにあてた。
仕事も丁度繁忙期に入っていて、身体は疲れ切っていたけど、兄ちゃんとの生活を考えたら…
部屋探しの苦労も、膨大な荷物の片付けも、全てが幸せに感じられた。
「この物件さ、立地条件も良さそうだし、間取りも悪くないから、今度見に行かない?」
「どれ、見せてみ?」
PCに向かって仕事をする兄ちゃんの前に、タブレット端末を差し出す。
「これなんだけどさ、会社からも遠くないし、どうかなって思って…」
2LDKのそのマンションは、築年数こそそこそこ経ってはいるものの、外観もオシャレだし、内装だってリフォーム済みだ。
日当たりだって悪くなさそうだし、家賃だって、二人で折半すれば申し分ない金額だ。
「どう? 良くない?」
「いいんじゃない? 今度の休みに見に行くか…。で、良ければその場で契約してもいいし…」
兄ちゃんの手が伸びてきて、俺の髪をクシャッと掻き混ぜた。
あーあ、せっかくセットしたのにな…