第1章 兄弟…
和也side
俺は施設の職員から教えられた会社に潤を尋ねた。
そして現れたのは…
「俺達本当に兄弟?」
と、思わず疑いたくなるようなイケメン。
だって俺より図体デカイし、何よりハッキリとした目鼻立ちの顔は、“純和風“の俺の顔とは真逆の“洋風顔”。
髪をオールバックに撫で付け、パリッとしたスーツに身を包んだその姿は、まるでモデル並み。
髪ぐらいちゃんとセットしてくれば良かった…
俺は洗いざらしの髪を、少しだけ後悔した。
俺達は簡単な挨拶を交わすと、昼休憩中だと言う潤と一緒に会社近くのファミレスに入った。
「兄ちゃん、何にする?」
急に“兄ちゃん”なんて呼ばれて、俺はただ戸惑うしかなくって…
「えっ、あ、あぁ、ハンバーグ…かな…」
メニューに目を通すことなく答えた俺に、潤は少しだけ顔を綻ばせた。
緊張してんのバレたかな…
「俺も兄ちゃんと同じのにしよっかな」
潤がテーブルにセットされたブザーを押した。
「コーヒーでいいよね?」
「うん、あぁ、いいよ」
程なくして現れたウェイターに注文を済ませると、俺達の間に沈黙の時間が訪れた。