第3章 潤…
ジャケットを羽織り、兄ちゃんと並んでフロントに向かう。
「予約しといた二宮ですけど…」
「本当に予約してたんだ?」
「うっせーわ…」
フロントでカードキーを受け取り、エレベーターへと乗り込む。
階数が上がるにつれ、どんどん早くなる俺の鼓動。
兄ちゃんにも聞こえてるんじゃないか、って気になってしまう。
やがてエレベーターの扉が開き、キーに書かれた数字を頼りに部屋へと歩を進める。
いかにも贅を尽したホテルの作りに、溜息が零れる。
「…ここだ」
兄ちゃんが足を止め、俺の足もそれに合わせて停まる。
カードキーを差し込み、ノブを捻ると、重厚な扉が音も立てずにゆっくり開かれた。
「お邪魔しま~す…」
「お前、ソレ誰に言ってんの?」
「いや…なんとなく?」
部屋の入り口で立ち止まる俺を押し退け、兄ちゃんはズカズカと部屋の中へと入っていく。
「なぁ、見てみ? 夜景が超綺麗だぜ?」
一面ガラス張りの窓辺に立ち、兄ちゃんが俺を振り返る。
「ホントだ…。吸い込まれちゃいそうだね?」
「ああ…」
俺達は暫くの間、そこから見える夜景を並んで眺めていた。
「俺、先シャワー浴びてくるわ…」
「あっ、うん…」
ジャケットを乱暴にベッドの上に脱ぎ捨て、ネクタイを緩める。
あ、その仕草…
ちょっとヤバいかも…