第3章 潤…
兄ちゃんとは一週間前から、連絡も取っていない。
とは言っても、兄ちゃんからのメールは何度かあったんだけどね?
それにはあえて返信をすることはしなかった。
兄ちゃんの仕事の邪魔はしたくなかったから。
でも流石にちょっと寂しくなってきた…かな?
スッポリ開いてしまった隣が、なんだか寒い。
「あ、そうそう、ケーキ今日は用意してないわよ?」
「えっ、なんで?」
小さな子供じゃないんだから、ケーキがどうしても食べたいってわけじゃない。
ただケーキ一つない誕生日が、寂しいだけ。
「お父さんとも相談したんだけど、ケーキは今度みんなが揃った時にでも用意しようと思ってね?」
「そうなんだ。和也君もいた方が、潤君も嬉しいだろ?」
両親の小さな気遣いが嬉しかった。
「うん、そうして? 俺も兄ちゃんに祝って欲しいし…」
「じゃあそれで決まりね。母さん、腕によりをかけて作るわ」
「楽しみにしてる」
食事が終わり、そろそろ…と腰を上げた時、ポケットの中のスマホが小さく震えた。
もしかして…?
逸る気持ちでスマホを取り出し、画面をスワイプする。
『仕事終わった。今から会えるか?』
兄ちゃんからの短いメッセージがそこには表示された