第2章 和…
“母さん”の作る料理はどれも美味しくて、“お袋の味”ってこんな感じなのかな、なんてぼんやりと思う。
同時に、潤は俺とは違って、“母さん”にたっぷりの愛情を受けて育ってきた、そう思うと少しだけ潤が羨ましく思えた。
「どう、兄ちゃん美味いだろ、母さんのハンバーグ」
口いっぱいにハンバーグを頬張り、無邪気な笑顔を向ける潤。
再会してから色んな潤の顔を見てきたけど、初めて見る顔だった。
「うん、超美味い」
本心だった。
今まで食べた、どんな高級なハンバーグよりも、“母さん”の作ったハンバーグは美味しかった。
「良かったわ、口に合って」
“母さん”がホッとした様子で胸を撫で下ろした。
そりゃそうだよね、俺の好きな味なんて、この人は知らないんだから。
食事が済むと、片付けを始めた“母さん”と潤をキッチンに残し、俺と“親父さん”はリビングに移動した。
ホロ酔い気味の“親父さん”は終始ニコニコ顔で、更に俺にビールを薦めてきた。
「もう少しいいじゃないか?」
「いえ、潤飲めないのに、俺ばっかりってのもなんなんで…」
「そうか…。残念だな」
“親父さん”がショボンと肩を落とした。
その姿があまりにも情なくて、俺はクスッと笑った。