第2章 和…
“親父さん”は新聞を畳んでローテーブルにポンと置くと、眼鏡を外しその上に置いた。
そして人の良さそうな笑顔を俺に向けた。
「君が和也君かい? 君の話はいつも潤君から聞かされてるら、初対面て気はしないんだけど、…初対面だよな?」
そう言って潤に向かって頭をポリポリ掻いてみせた。
「何言ってんの、親父さん? 初対面に決まってんだろ? “天然”もそこまで行くと違った病気疑われるよ?」
それもそうだな、と笑う“親父さん”と潤のやり取りが可笑しくて、俺もつい釣られて笑ってしまう。
「おっ、和也君は笑った顔がお母さんに良く似てるね? 潤君は、僕に似てるけどね」
そう言って笑った顔は、潤とは全く似てないのは当然で、ポカンとした顔の潤を見たら、思わず吹き出してしまった。
「ったく、いつもこの調子なんだよ、親父さんは…。
…って、いつまで笑ってんの、兄ちゃん」
「ごめんごめん…、でもさ…ププッ…」
込み上げてくるのを止められなくて、俺は腹筋が捩れるんじゃないかっ、てぐらい笑った。
こんなに笑ったの、いつぶりなんだろう…?
もう何年もこんなに笑ったことなんてないような気がする。
「準備出来たから、ご飯にしましょ?」
“母さん”がキッチンの方から、リビングの俺達に声を掛けた。