第2章 和…
潤の運転に揺られながら、家が近付くにつれ俺の緊張感は増し、次第に口数も少なくなっていく。
「そこ角曲がったら家だから」
潤の言葉通り、車が角を曲がると潤は車をガレージに停車させた。
「緊張してる?」
シートベルトをなかなか外さない俺の顔を、潤の笑顔が覗き込んだ。
「んな訳…ちょっとある…かもな…」
ため息交じりに答える俺の頬に、潤がチュッとキスをした。
「おま、ばかか…?」
「おまじないだよ、緊張しないようにね? さ、行くよ?」
俺の口から、とてつもなく長い溜息が零れた。
でも、潤の“おまじない”のせいか、少しは緊張が解れた…ような気がする。
先に車を降りた潤が助手席のドアを開けてくれて、俺は漸く重い腰を上げた。
潤がインターホンを押した。
その瞬間俺の緊張度はMAXまで一気に上昇した。
潤の手が俺の手を握ってなきゃ、俺はとっくに逃げ出してる筈だ。
『は〜い、どちら様?』
聞こえて来たのは、“母さん“の声…?
「あ、俺、潤。兄ちゃん連れてきたよ」
『えっ、やだ、それ早く言いなさいよ』
スピーカーから聞こえる明るく元気な声で、潤にいっぱい食わされたことに、俺は漸く気付いた。