第11章 決断…
母さんがこれまでどんな思いでいたか…
どんな思いで、毎年俺のためのお年玉を用意していたのか…
それを考えると、胸が痛くて…、でも暖かだった。
「これ…、俺が貰っちゃって…良いんだよね?」
「当たり前じゃないの。言ったでしょ? “和也に会えた時に渡そう”って、ずっと心に決めてた、って…」
「うん…。あり…がとう…」
俺はテーブルの上に並べたポチ袋を、歳の順に重ねて熨斗袋に仕舞うと、潤が貰った“お年玉”と一緒に、ショルダーバックの中に入れた。
それを見ていた親父さんが、母さんの肩に手を乗せ、軽く譲った。
「ああ、これで漸く私も子供離れが出来そうだわ」
「えっ…?」
「急に何言い出すの?」
突然の母さんの“子離れ宣言”に、俺達はお互いの顔を見合わせた。
「だってそうでしょ? あんた達ももういい歳だもの、好きにすれば良いわ。その代わり、私もお父さんと第二の人生を楽しむのとにしたから。ね、お父さん?」
年甲斐もなく語尾にハートマークが付いたような口調に、親父さんが激しく咳き込む。
「ね、ねぇ、それって…、俺達のこと…」
「潤、勘違いするんじゃない」
身を乗り出した潤を、親父さんが胸をトントンと叩きながら制した。