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99.9%のDNA【気象系BL】

第11章 決断…


目の前にある物が何を意味しているのか…

いつもどんな時でも冷静沈着が売りの筈の俺の頭が、珍しく混乱していて…、意味が分からなかった。

「えっと…、あの…、これは…」

小さなポチ袋の中には、皺くちゃだけど、綺麗に折り畳んだ千円札が入っていて…

それは俺が節目を向迎える頃になると一枚から二枚、二枚から三枚へと増えて行き…、俺が丁度施設を退所する歳まで続いていた。

「いつか和也に会うことがあったら、渡そうと思っててね…。本当は潤みたいに出来たら良かったんだけど、今のお父さんと一緒になるまでは、私も必死だったから…」

女手一つで子供を育てることがどれ程大変なのかは、正直俺には分からない。

でも、生きることの辛さや苦労は、俺にも少しは分かる。

俺もそうだったから…

親戚の家をたらい回しにされ、挙句施設にまで入れられて…、食いたいモンもろくに食えなくて、欲しいモンも手には入らなくて…、それでも生きて行かなきゃいけないのが、子供心に辛かった。

社会に出てからだってそうだ。

頼れる身内も無くて、一人で生きて行くことに嫌気がさしたことだって、一度や二度じゃない。

だからきっと母さんも…

なのに俺は母さんの愛情を疑ってばかりいた。

俺よりも、潤の方が大事なんだ、って…
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