第11章 決断…
「母さんも私も、君達の関係を認めた訳じゃない」
「で、でも、好きにすればいいって、さっき…」
純粋な潤は、その言葉の裏にある“本音”を疑うことを知らない。
「確かに言ったわよ? でもそれは、あんた達の関係を全て認めた、ってこととは違うのよ? 私は今でもあなた達には普通に結婚して、普通の家庭を持って欲しいと思ってるわ。孫の顔だって見たいし…」
「じゃあどうして…」
「仕方ないじゃないの…。あなた達にはあなた達の人生があって、そこに私が“こうして欲しい”とか“ こうなって欲しい”とか…、私の願望だけを押し付けるようなことはしたくないのよ…」
ああ…、そうか…
俺達の未来は、俺達だけの物であって、他の誰でもない…例え親であっても決められる物でもないし、ましてや押し付けられる物でもない。
だからこその“好きにすれば良い”なんだ…
「母さん…、俺…、もし潤と兄弟じゃなくても、きっと潤のこと選んでたと思う」
それだけは自信を持って言える。
そしてそれは、明るい未来なんて描けないと思っていた俺が、初めて欲しいと思った未来。
潤こそが、俺にとっての未来そのものなんだ。
この先、俺達の未来がどうなってるかなんて、誰にも分からない。
でも俺は、潤との未来を描き続けたい。