第11章 決断…
結局、その後も母さんからの連絡はなく…
俺達は二人だけで年を越すことになった。
年末ならではの歌番組を二人で見ながら、形ばかりの正月準備を二人でして…
年を越すのを待たずに、近所の神社に初詣に向かった。
二人で長蛇の列に並んで、二人で一緒に除夜の鐘を突き終えた頃には、すっかり年を越していた。
その帰り道…
突然潤のスマホが鳴った。
「親父さん…からだ…」
「えっ…?」
潤は手袋のままスマホを操作すると、白い息を吐きながらスマホを耳に当てた。
「もしもし親父さん? あ、明けましておめでとうございます。えっ…、う、うん…分かった。兄ちゃんにも伝えておく」
親父さんとスマホ越しに会話を交わしながら、潤がチラチラと俺の顔を見る。
その顔が徐々に明るくなって行くのが、点滅を繰り返す街灯の下でも分かる。
「親父さん、何だって?」
「なんか…ね、母さんがお年玉用意してるから、取りに来いって…」
「は? お年玉って…、何だそりゃ…」
大体この歳になって親からお年玉とか…、貰えないだろ…
「つか、お前まだお年玉とか貰ってたのか?」
「まさか! 高校卒業した時点で、お年玉も卒業させられたし…」
普通はそう…だよな…
「とりあえずさ、明日挨拶がてら行かない?」
「そう…だな…。そうするか…」
ちょっと敷居は高そうだけど…