第11章 決断…
「いいよ? 俺は、兄ちゃんがそれで良いなら、俺も無理に誰かに認めて貰おうとか、許して貰おうとか…もう思わない」
でもね和…、と潤が俺の胸の上でキュッと拳を握る。
「俺はやっぱり… 、他の誰に反対されたとしても、母さんと親父さんには認めて欲しいんだ」
「潤…」
「そうじゃなきゃ、漸く一つになりかけた家族が、またバラバラになっちゃう…」
俺だって…
出来ることなら、せっかく得た今の環境を壊したくはない。
普通に両親が揃っ家庭を見る度に、羨ましくて…、喉から手が出る程欲しかった物を、漸く手に入れたんだから…
「だからね、俺諦めないよ? 母さんが俺達の関係を認めてくれるまで、何度だって説得するから…」
「潤…」
「だってね、俺思うんだ…。母さん…って言うか、家族にとって何が一番大事かって考えたら、やっぱりそこに愛があるかないか、って事だと思うんだよね…」
「ま、まあ…、そうかも知んないけど…」
俺達の“愛”は、家族間で交わされる“愛”とは、全く種類が違う。
もし共通する点があるとしたら、それはどちらも“無償”であること…なのかもしれない。
「だから…ね…、和は何も心配…しないで良いから…ね…」
急に減速を始めた潤の口調…
「じゅ…ん…?」
俺の呼びかけにも返事はない。
「何だよ…、寝たのか…」
ったく、言いたいことだけ言って先に寝るとか…、マジで信じらんねぇ…(笑)