第11章 決断…
「なあ、潤…、俺さ…」
「うん…」
俺の胸に顔を埋めたまま、潤が上目遣いで俺を見る。
俺はあえてその視線から目を逸らすと、サイドチェストに置いた煙草を手に取った。
一本を口に咥え、ライターで火を点けると、途端に紫煙が目の前に広がった。
「誰かに認めて貰うとか、許して貰うとか…、 それって本当に必要なことなのか?」
「どういう…意味?」
「俺は…さ、誰かに認めて欲しいとか、許して欲しい…とか? 今まで思ったことないからさ…」
そんな風に思える相手がいなかっただけ…なのかもしれないけど…
ただ、潤に出会って…、潤と愛し合って…、誰かに俺達のことを知って貰いたい、って…
そう思えるようにもなった。
でも結局、俺がどんなに求めた所で結果は同じ。
誰も俺達みたいな関係を認めてくれやしないんだ…
だったら…
「俺達だけが知ってれば良いんじゃないか? 別に無理に理解して貰おうとしなくてもさ、俺達が…、俺達だけがちゃんと愛し合ってれば…、俺は…」
この繋いだ手さえ離さなければ…
潤さえ傍にいてくれるならば…
それだけで俺は十分だ、って…
それ以上を望むのは贅沢なんだ、って…
そう思うのは間違い…なのか?