第11章 決断…
しっかり逆上せた潤が落ち着くのを待って、俺達は寝室へと移動した。
俺よかタッパのある潤に肩を貸しながら…ってのは、流石に骨が折れたけど…
でもまあ仕方ないよな…。
いくら俺よか図体デカくたって、潤は俺の弟に違いないんだからさ…
「ねぇ、兄ちゃん?」
「ん?」
ベッドの中なのに、俺を“兄ちゃん”と呼ぶのは、潤が純粋に“弟”として俺に甘えたい時だ。
「俺ね、本当はどっかで期待してたんだ…」
「何を?」
ベッドヘッドに凭れた俺の胸に、潤が頬を埋めて来るから、潤が喋る度に息が吹きかかって擽ったい。
「兄ちゃんとだったら、母さんも認めてくれると思ったんだ…」
「は? 何で俺とだったら認めてくれんだよ…。意味分かんねぇ…」
大体、あの時母さんが一瞬見せた顔…
潤は気付いてないみたいだけど、あれは明らかな軽蔑の表情だった。
ってことは、結局相手が誰であろうと…たとえ“俺”であったとしても、決して認めることはない。
これまで何度も同じような経験して来てんだ…、潤には分からなくても、俺には分かる。
「だって母さん…、兄ちゃんが望むことなら、何でも叶えてやりたい、って…。兄ちゃんを…捨てた自分に出来るのは、許すことしか出来ないから、って…」
例えその言葉が母さんの本音だったとしても、だ。