第11章 決断…
「あ…で…、兄ちゃ…ん…? ろ…して…?」
洗面所でタオルを濡らし、潤の額に乗せてやると、薄らと瞼を開いた潤が、呂律の回らない口調で言って、ヘラッと笑った。
「どうしてじゃねぇよ…。ったく、世話かけやがって…」
しかも笑ってやがるし…
大体、俺よか図体デカいのに、どうやって運べっつーんだよ…
「ちょっと待ってろ。水持って来てやるから…」
俺は潤を運ぶのを諦めて、キッチンへと戻ると、潤専用の…これまた健康に良いらしいドリンクをストッカーから取り出し、バスルームへと引き返す。
「ほら、飲め…」
潤の背中を支え、ボトルを潤の口元まで運んでやる。
「ごめん、兄ちゃ…」
「いいから、飲めって…」
うん、と頷いた潤がボトルの口を咥えたのを合図に、ボトルを傾けてやると、ゴクリ…と鳴って、ドリンクが潤の喉を通過して行くのが分かった。
「あり…がと…」
「もういいのか?」
「うん、も…いい…」
フーと息を吐き出して、潤が俺の肩に頭をコツンと預ける。
俺は濡れた潤の髪そっと指で梳いた。
「ごめんね…、兄ちゃん…。俺のせいだよ…ね…、兄ちゃんが怒ったの…」
「もう良いよ…。俺の方こそ怒ったりして…悪かった」
俺は潤の顎を指で持ち上げると、健康ドリンクの味が残る唇にキスをした。