第11章 決断…
潤を一人残し、先に風呂から上がった俺は、ろくに身体を拭くこともなく、腰にバスタオルだけを巻いてキッチンへと入った。
冷蔵庫から冷えたビールを取り出し、それを手にソファにドカッと腰を下ろした。
いつもなら潤を待ってから開けるビールを、待ちきれずに先に開ける。
潤が出て来たら、どうせこう言うんだ…
「兄ちゃんだけ狡い」って…
それから、こうも…
「どうして待っててくれなかったの?」って…
すっげー不機嫌な顔してさ、唇なんか尖らせたりしてさ…
でもそんなの構うもんか…
俺は一気に缶ビールを飲み干すと、二本目のビールを取り出すべく、再び冷蔵庫を開けた。
でもすぐに閉めた。
「おっせぇな…」
元々潤は例の“入浴健康法”とやらで長風呂にはなりがちだけど、いくら何でも長過ぎる。
「まさかアイツ…」
一瞬、嫌な予感がして…
俺はバスタオルを巻いただけの格好でバスルームに向かうと、
「いつまで入ってんだ? いい加減出てこい」
言いながらドアを開けた。
浴室内に溜まっていた湯気が一気に脱衣所まで溢れ出す。
「ばか、お前…」
慌てて風呂場に飛び込んだ俺は、バスタブの中で真っ赤な顔をしてグッタリする潤に駆け寄り、湯船の中から引き摺り出した。