第11章 決断…
ファミレスで腹を満たした俺達は、他に立ち寄ることもなく、二人で暮らすマンションへと帰った。
「風呂、どうする?」
潤がそう聞いて来る時は、大抵“一緒に入りたい”って言う、遠回しのお強請りってやつで…
「一緒に入るか?」
俺がそう答えるのを、せっせと着替を用意しながら待っている。
ホント…、図体はデカいは、顔だって俺よか数倍イケてるくせに、中身はまるでガキ…っつーか、天使なんだよな(笑)
「じゃあ、俺風呂の準備してくるね? あ、兄ちゃんはヒーター付けといて?」
「はいはい、分かりました」
寒がりの潤は、エアコンの暖房だけじゃ足りなくて、風呂上がりにヒーターが付いていないと、「寒い寒い」と大騒ぎをする。
世話が焼ける上に、手間までかかるんだから、何でも適当主義の俺にとったら面倒でしかない弟なんだけど、そんな弟の潤が、俺は可愛くて仕方がない。
もし…
もしも、俺達がガキの頃から一緒に暮らしていたら…、もしかしたら今のような関係にはなってなかったかもしれない。
でも俺達はそうじゃなかった。
離れていた時間が長過ぎたから…
だから、俺達はお互いを愛することで、そのスッポリ抜け落ちた時間を埋めようとしているんだと思う。
ま、そうじゃなかったら、血を分けた実の弟とこんな関係には…なってなかっただろうな…