第11章 決断…
結局その後はろくに会話もしないまま、俺は通りがかりのファミレスの駐車場に車を突っ込んだ。
「飯、食って帰ろうぜ?」
別に期待してたわけじゃないが、実家に行けば母さんの手料理が食える…なんて思ったのは、甘い考えだった。
とても一家団欒を楽しめる雰囲気でもなかったのに…
「俺、腹減ってないし…」
「ばーか、お前が減ってなくても俺が減ってんだよ」
なかなか車から降りようとしない潤の腕を掴み、強引に車から引き摺り降ろす。
ったく…、弟のくせに俺よりデカい図体しといて、世話が焼けるぜ…
「おら、早く行くぞ?」
見るからに不機嫌な顔で、渋々俺の後を着いて来る潤の手を引っぱる。
一瞬、周りの目を気にしたのか、潤が俺の手を振り解こうとしたけど、俺はそれにはかまわず、潤の手を繋いだまま店の中へと入った。
俺達の手は、店員が案内してくれる席に着くまで、ずっと繋がったままで…
「兄ちゃんって、ホント信じられない…」
真っ赤な顔をした潤が唇を尖らすのを、俺は声を殺して笑った。
しかもさ、腹減ってないとか言っておきながら、ライスの大盛り注文すんだからさ、余計に笑っちゃうよな(笑)