第11章 決断…
「今日はもう帰りなさい。まあ、私も全てを理解したわけではないし、そう簡単に君達の関係を認めることは出来んが、母さんのことは私が何とかするから…」
玄関先で親父さんが俺達の肩を叩く。
「すいません…。こんな年の瀬にお騒がせして…」
「ごめん、親父さんにまで迷惑かけて…」
俺が頭を下げると、潤も親父さんに向かって頭を下げた。
「いやいや構わんよ。君達に迷惑をかけられるってことは、いよいよ私も本当の父親になれた証拠…ってことにはならないか」
珍しく親父さんが声を上げて笑うのを聞きながら、俺達は実家を後にした。
行きは潤の運転だったが、帰りは俺が運転することにした。
とてもじゃないが、まともな運転が出来るとは思えなかったから…
このタイミングで事故でも起こしたら、それこそ母さん達を悲しませることになりかねない。
「兄ちゃん…、俺間違ってたのかな…」
窓の外に顔を向けたまま、潤がポツリ言う。
俺は膝の上で震える潤の手に自分の手を重ねると、包み込むように握った。
「間違ってたかどうかは…正直分かんねぇけどさ、いつかは話さなきゃなんないことだから…」
それが今だろうが、もっと先であろうが、母さんを悲しませることに変わりはないんだから…