第11章 決断…
俺達は年末の忙しい最中の合間を縫って、揃って実家を訪ねた。
俺としては、年が開けて、落ち着いてからでも…と思ってたんだけど、潤の考えは違っていた。
「モヤモヤしたまま年を越すのは嫌だ。スッキリして、新鮮な気持ちで年を越したい」
俺は潤の意見を尊重することにした。
俺自身、このまま悶々とした気持ちのまま過ごすのは、苦痛以外の何ものでもなかったから…
…で、現在に至るわけなんだけど…
母さんと親父さんを前にすると、やっぱり気持ちが竦んでしまう。
俺はテーブルの上のミカンを一つ手に取ると、適当に皮を剥いて口の中に放り込んだ。
どうしてもだろう…
本当は甘い筈のミカンが、今は酸っぱさしか感じない。
「何か話があって来たんじゃないの?」
何も言わない俺達に痺れを切らした母さんが、人数分の湯呑みに急須でお茶を注ぎながら言う。
親父さんは相変わらず新聞に視線を向けたままだ。
そして俺の隣では潤が、今にも握り潰してしまいそうな勢いでミカンを揉んでいる。
はあ…、やっぱここは俺がしっかりしねぇとな…
俺はスっと息を吸い込むと、
「実は俺達…」
言いかけた時だった…
「俺達付き合ってるんだ…」
潤の手の中で、ミカンがプシュッと音を立てて潰れた。