第11章 決断…
「和…? どうして…?」
両腕を枕に、潤の横に仰向けになった俺を、潤が驚いた様子で覗き込む。
そりゃそうだよな…、今までセックスの途中で投げ出すことなんて、ただの一度だって無かったんだから…
「気持ち良く…無かった、とか…?」
潤があまりにも不安そうな声を出すから、俺は枕替わりにしていた腕を潤の首の下に突っ込むと、そのまま肩を抱き寄せた。
「違うよ…、そんなんじゃない…」
だって潤の中はいつだって熱くて、ずっと潤に包まれていたいって思うくらいなのに、その俺が“気持ち良くない”なんて思う筈がない。
「じゃ…、ど…して…?」
いつもは兄の俺に対しても強気な弟の潤が、珍しく気弱な声を出す。
つかさぁ…、そんな目で見られたら、無理矢理押さえ込んだ理性が暴走始めんだろうが…
俺は潤の目から視線を逸らすように、残った片手をサイドテーブルに置いた煙草へと伸ばした。
潤の部屋で煙草を吸うと、部屋が臭くなるって潤が嫌がることを知っていながら、煙草に火を付けた。
「お前さあ…、最近何か悩んでんだろ…」
見上げた視界が、吐き出した紫煙に曇る。
「別に何も…?」
潤は咄嗟に誤魔化すけど、俺には分かんだよね…
絶対“嘘”だ、ってさ…