第10章 非対称…【Extra Edition】
「ね、早くロウソク消しなよ」
「えっ、あ、う、うん…」
カウンターに置かれた、雅紀特製フルーツ盛り沢山パンケーキのロウソクに、照れ臭さを感じながらフーっと息を吹きかける。
「わーっ、すごーい、おめでとう! 」
「あ、ありが…と…」
っていうか、なんか…わざとらしくない?
「ねぇ、ほんっとーに覚えてたんだよね、俺の誕生日…」
「あ、あ、あったりまえでしょ、忘れるわけない…じゃん…?」
なんか…歯切れ悪いのは、俺の気のせい?
「そうだよね、雅紀が俺の誕生日忘れるわけないよね!」
一度ならず二度までも…なんてこと、ある筈ない。
ここは素直に喜んでおくべきだよな。
「ありがとう、俺嬉しいよ」
「俺も、喜んで貰えて嬉しいよ!」
「あ、ねぇ、誕生日だし…、一つだけわがまま言っても良い?」
高価なブレゼントなんていらない。
欲しいのはただ一つ…
「あーん…して食べさせて欲しいんだけど…」
俺もあの二人のように…ううん、同じじゃなくたっていい。
だって雅紀は雅紀なんだから、潤くんみたいに愛して欲しいとは言わない。
でも、あの“あーん”はちょった羨ましかったんだよね…
「だめ…かな…?」
俺は雅紀の顔を上目遣いで見上げた。